入社のきっかけ

前職でも金属加工の仕事をしており、オフィス用品を製造していました。
しかし、その仕事では最終的に何に使われるのかが見えにくく、モチベーションを保つのが難しかったんです。
そんなとき、妻から「フレットを作っている会社がある」と教えてもらい、ギターが好きなこともあって、入社を決めました。フレットなら自分が使う立場としても身近な存在で、作る仕事に面白さを感じられると思ったからです。

見えない変化を見極める仕事

現在は平線の圧延を担当しています。平線の用途としては、バネやコネクタ部品、ピストンリングなどがあります。特に車載機器向けの部品が多いですね。圧延の作業は単に金属を押しつぶすだけではなく、材料の硬さや表面状態によって仕上がりが変わるため、非常に奥深い仕事です。

例えば、同じ条件で加工しても、材料のわずかな違いで全く異なる結果になることがあります。そのため、マニュアル通りにやってもうまくいかないことがあり、現場での経験と勘が必要です。「昨日はうまくいったのに、今日はなぜかダメ」ということが起こることがあります。そのため、試行錯誤しながら調整を繰り返し、最終的に基準を満たす製品を作り上げることが求められます。


また、入社して最初の1年間は品質管理を担当していました。全製品の検査を経験したことで、「この製品ではどの部分が重要なのか」「どこを注意して作るべきか」といった視点を持てるようになりました。品質管理を経験したことで、製造現場に移った際にも役立つことが多かったですね。

試行錯誤の先にある「ものづくりの面白さ」

この仕事のやりがいは、「本当にこれ、できるのか?」と思うような難しい案件を成功させたときに感じます。例えば、以前、非常に加工が難しい製品を依頼されたとき、最初は「こんなに曲がっていて、どうやって作るんだ?」と思いました。しかし、試行錯誤の末に形にすることができたときは、とても達成感がありました。

圧延作業では「イヤイヤ期」のような、金属が加工に対して抵抗を示す状態があり、これをいかにコントロールするかが重要になります。イヤイヤ期が始まると、どんなに押し込んでも元に戻ろうとしてしまうため、最適なタイミングで調整を行わなければなりません。これが非常に難しく、毎回異なる対応が求められます。


この仕事は単なる作業ではなく、経験と勘、そして創意工夫が必要な職人の仕事だと感じています。日々試行錯誤しながら、自分の技術を磨いていくことが楽しさでもあり、やりがいでもあります。
さらに技術を磨き続け、より精度の高い製品を作り続けていきたいと思います。