ものづくりへの興味から始まったキャリア

私は製造部門でフレットのカット工程を担当し、カットから出荷までの一連の作業に携わっています。この仕事に就いたきっかけは、もともと手先が器用だったことや、ものづくりが好きだったことでした。特に楽器への興味があったわけではありませんが、子どもの頃から工作が好きで、「自分の手で何かを作れるのは面白そうだな」という思いが、この道を選ぶ決め手になりました。フレット製造に携わること25年。気づけばフレット一筋のキャリアを歩んできました。

ものづくりは奥が深い

入社当初、製造業は「ボタンを押せば物ができる」というイメージがありました。しかし、実際は人の手や知恵が大きく関わる仕事であることを痛感しました。機械を動かすだけではなく、工程ごとの工夫や改善が求められる。特にフレット製造は、職人の技術と経験が大きく左右します。

仕事の中で試行錯誤を重ねながら、自分なりの「引き出し」を増やしていくことが求められます。答えが決まっているわけではなく、自分で最適解を見つける必要がある。そうした挑戦の連続が、ものづくりの醍醐味なのかもしれません。

やりがいを感じる瞬間

私たちが作るフレットは、ギターやウクレレなどの楽器に使われます。

やりがいを感じる瞬間はいくつもありますが、特にお客様の依頼に対し作成した試作品が評価され、採用された時には自分たちの技術力が認められたと実感しました。


また、家族と一緒にいるときに自分の仕事の成果を見せることができるのも、やりがいのひとつです。「これ、お父さんが作ったフレットだよ」と子どもたちに伝えられるのは、ものづくりの仕事ならではの喜びだと思います。

三晃製作所に向いている人とは

この仕事には、決められた作業をこなすだけではなく、試行錯誤を楽しめる人が向いていると思います。何か問題が発生したときに、自分で考え、試し、改善していくことが求められるからです。「こうしてみよう」「ああしてみよう」と試行錯誤を繰り返しながら、ものづくりに向き合える人であれば、この職場でやりがいを感じられるはずです。

また、三晃にはチャレンジを応援する文化があります。私自身も上司や先輩から「ちょっとやってみなよ」と背中を押されることが多く、その積み重ねが自分の成長につながったと感じています。新しいことに挑戦する意欲がある人には、ぴったりの環境だと思います。

後輩を育てることも仕事のひとつ

今では後輩を指導する立場になりました。教えるときは、背景から丁寧に説明するように心がけています。「どうしてこの作業が必要なのか」「何を目的としているのか」を伝えないと、ただの作業になってしまうからです。ただ単にやり方を伝えるのではなく、なぜその作業が必要なのか、どのように考えて取り組むべきなのかを伝えられるよう心がけています。

ものづくりは、一朝一夕で身につくものではありません。長い時間をかけて経験を積み重ねることで、初めて自分のものになる。だからこそ、後輩たちにもじっくりと学んでほしいと思っています。

これからもものづくりの道を歩む

25年間、フレット製造に携わってきましたが、まだまだ学ぶことは尽きません。新しい技術や製造方法を学びながら、より良い製品を作り続けることが目標です。

これからも試行錯誤を重ね、ものづくりの楽しさを後輩たちに伝えていきたい。そして、自分が関わったフレットが世界中のギターに使われ、多くの人々に音楽の楽しさを届けることができたら、それ以上の喜びはありません。